ある中年看護助手と保護犬の婚活生活

我が家に来たときから直腸末期癌の高齢保護犬と、ずーっと派遣で事務職と医療事務、看護助手をやっていたが正職員の看護助手になって、今度は無謀にも45歳で婚活を始めた話。

進撃の巨人ボディ

服を買った。

ちょっと改まった場所で着るものが一切見当たらない…いや、体に合わなくなったからだ。

そりゃそうだ。

看護助手時代は一日二万歩(うち半分は走って半分は階段)を記録していたのに、今はトイレとコンビニしか行かない廃人生活だ。

しかし飯は美味い。

ちょっとデカいな~と思っていた服がちょうど、または「やや」キツくなり、これはマズいわ…と気付いてはいた。
しかし怠惰な性格のため、運動はしない&ご飯は減らさない&夜中にアイス。
むしろまだ手持ちで着られるものがあることが奇跡である。
まあ、Tシャツとジーンズという生活なので、それぞれ入るものを着ているだけだが。

この間、うっかりコンタクトをして風呂に入った。
うちの風呂にはデカい鏡があり、ほぼ全身が映る。そして、

「巨人がおる……」

そこには腹が出てボテボテと手を左右に振りながら走る巨人がいた。

進撃の巨人に出てくる巨人の中でも、女型の巨人とか、アスリート巨人ではない。確実に奇行種もしくはモブのやつ。
いつも笑顔で楽しそうにボテボテ走ってるやつ。

目眩がした。
せめて女型の巨人になりてぇ…と。


冒頭の話に戻る。

OLブランドの店に入って綺麗めパンツとそれに合わせる上着を選んでいた。
平日の昼間、店員さんはカバティのようについて回ってくる。
逃げられない。それにどうせサイズ出して貰わなきゃならんしな、と諦めて会話開始。

最終的には試着室に驚く量の服が積まれた。
さすがプロ。
すかさず私のニーズに応え、あらゆるタイプを並べてくれた。
とりあえず、第一候補のズボンに足を入れる。

む。

膝まで入る前に理解した。
これは無理。尻まで行くか?
よし、何とか入ったけどチャック閉まらんな。わかっとったで。

店員さんにもう一つ大きい(このブランドの最大サイズ)を持ってきてもらう。

膝まで入る前に理解した。
尻までいける。
ん?ん?チャックが…何とか、し、ま、…

未会計の商品。
万が一は許されない。
チャック閉めんでも、まあ、雰囲気が解ればええやろ…

ギリギリまでチャックを上げ、テラテラの生地にガラガラの模様が入ったチュニックを着る。一応袖らしきものはあるが、ほぼノースリーブ。

鏡には巨人、もとい、オカンが映っていた。

人は中年になり太ると大阪のオカンという、巨人になる。


周りに散らばる服、急いで値札を確認して安いものを選ぶ。これだけ出してもらって買わずには帰れない…

モブの巨人は、とりあえずすぐに使えるような上下を満面の笑みで購入した。

さて、ようやく家に着いた巨人は、まず冷房に堪えられる上着を捜さなければならない。
二の腕を隠すのも大切だが、巨人は寒さに大変弱いのであった。