ある中年看護助手と保護犬の婚活生活

我が家に来たときから直腸末期癌の高齢保護犬と、ずーっと派遣で事務職と医療事務、看護助手をやっていたが正職員の看護助手になって、今度は無謀にも45歳で婚活を始めた話。

一発逆転の夜

本命との2回目のデートにワクワクしながら向かう私。
相変わらず完璧な店選び。多分、めちゃ交際慣れしてる、と思う。ライバル多そう!とは解っていたので怯まないぜ。

何とか楽しませたい、自分を知ってもらいたいと必死な私。
2時間たっぷり喋り、またもや別れ際に次の約束を取り付ける。
が、土日のどっちかは出勤だから確認して連絡します!との返事。
この辺りで、私は何となく敗北を予感する。
さらに帰りの電車で、私は彼の地雷を踏んだ気がした……(詳しくは言わない!)


帰ってからすごく疲れていることに気付き、すでに翌日の二人と会うのが面倒になっていたが、明日が最後だから…と準備して就寝。


日曜日。土砂降り。
待合せ場所に行って千葉県民2と会う。
彼は10歳年上で、見た目は悪くないが会話を続けるのにちょっと労力が必要。
向こうもそう思って、互いに一生懸命歩み寄っている状態だ。
しかも向こうは長時間デートを望んでいたので、何とかそれを思い留まらせて4時間程度で勘弁してもらっての今日だった。
案の定、2時間超えてからの私は記憶がないくらい必死だった。
喋らない俳優が来たときのバラエティのMCみたいに話題を振って、笑顔を振りまく。

そして、3時間半で力尽きた…
雨だから早めに、と切り出して逃げるように去る。
昨日の「好かれよう」として必死なのと、とりあえず相手を楽しませようとする労力は違う。
同じ楽しませたい、でもこちらの気持ち次第で何もかもが違ってくる……


少し時間が空いたので、フラフラしながら帰りたい気持ちを押さえて千葉県民2との待合せ場所に。
土日の気力を使い果たし、もう今日でお別れしようとしている男性と、私は何しとんねん…と思いながら、適当にその場で選んだ店に入る。
そういや、昼もこんな感じで定食屋(一人千円ちょっとだった)で魚だったのに、また魚の店に来てしまった…とぼんやりメニューを見たが、こちらは結構なお値段の鰻であった。
最後なのに高いもの頼むのも悪いな…と一番安いのをチョイス。この人は絶対支払いさせないマンなのである。昼間は端数以外払いましたよ!

さて、こんな気持ちで向かい合ったわけですが、デートであることには変わりないので自動人形みたいに話し始める私。
相手も関西人なので、二人で会うときは関西弁である。
半ば適当になっていることを自覚しつつ、好かれなくて良いというプレッシャーなく会話は進む。
ひつまぶしも、う巻きも美味しかった。
そしてふと気付く。

私、全然気を使わないで喋ってる。
でも会話は楽しく続いている。
この人、たった2時間ちょっとのために、毎週2時間かけて私に会いに来てた。
しかも相談所情報だと、真剣交際したいと思ってくれているらしい。


昨日の本命の彼とより、リラックスして楽しんでる!
しかも遠慮なくものを言ってる!(今日が最後だからといつもより毒舌気味なのに)

次々私の中でパズルのピースがハマりだす。

太ってて、禿げてて、鳩のような目をしているけど!
この人と結婚したい!
私が健康にしてやる!(別に太っているが病気はない)
犬を飼って良ければ猫も飼ってやる!世話は私がする!(猫派なので飼いたいらしい)


そして帰りに次の約束を、今までのようにする私。
出逢って初めて、私のワクチン接種と彼の出張で会えない週末だと判明したが、それはそれで考える時間、冷静になる時間が出来る。
この前のように、突然恋に落ちて暴走しないで済む……


さて、そして会えない間、ワクチン接種で痛いよ〜辛いよ〜とLINEしていたら電話をくれたり、またもや相談所の人に本命のことで散々騒いでいたのに、気持ちが変わった!どうしよ!と話を聞いてもらって、段々と落ち着いて気持ちの整理がついてきた。

しかし今度は、前は私と真剣交際を考えていると聞いたが今でもそう思ってくれているか?
という、乙女のような心配が持ち上がってくる。

約2週間、悶々と過ごしつつ、相変わらずポツポツ来るお見合いの申込みを「断っても大丈夫か…?」と思いながら断る私。



そしてこの間の日曜日。
無事に真剣交際を申込まれ、今日この記事を書いている。
だが、先は長い。
これから具体的な結婚後の話を始めるのだ。
そこで互いにどうしても歩み寄れなくて、別れることになるかもしれない。

人生はいつだって不確定で先なんて読めないのだ。