ある中年看護助手と保護犬の婚活生活

我が家に来たときから直腸末期癌の高齢保護犬と、ずーっと派遣で事務職と医療事務、看護助手をやっていたが正職員の看護助手になって、今度は無謀にも45歳で婚活を始めた話。

物語は続いている

プロポーズをされて、マリッジリングを買って(婚約指輪は断った)、式代わりにウエディングフォトを撮って、お互いの親に挨拶にも行った(両家顔合わせはコロナのため未定)。
後は家を決めて、同居&入籍のみである。


去年の今頃、別の男と付合い、今の職場に正職員として採用され、派遣のお一人様から別のステージへ渡った私。

が!

別の男と結婚!
そして仕事は物理的退職(通勤出来ない)。
恐らく、しばらくは専業主婦。


一年前の私へ。

今付き合っている男は連絡を拒否して、別れの挨拶もなく逃げようとするクズです。
めっちゃムカついて、貴女はあいつより金持ちで優しくて誠実な人と結婚してやる!と突然思い付きます。
でもそれは成功します。
千葉の果てに引っ越すことになりますし、せっかくの正職員の仕事も失いますが、どうやら生活は豊かになるようです。
犬は年を取りますが、まだ元気です。オムツになるので、オムツ代は用意しておくように。
家探し難航するけど、頑張ってね。


BGMはアンジェラ・アキでお願いします。

一発逆転の夜

本命との2回目のデートにワクワクしながら向かう私。
相変わらず完璧な店選び。多分、めちゃ交際慣れしてる、と思う。ライバル多そう!とは解っていたので怯まないぜ。

何とか楽しませたい、自分を知ってもらいたいと必死な私。
2時間たっぷり喋り、またもや別れ際に次の約束を取り付ける。
が、土日のどっちかは出勤だから確認して連絡します!との返事。
この辺りで、私は何となく敗北を予感する。
さらに帰りの電車で、私は彼の地雷を踏んだ気がした……(詳しくは言わない!)


帰ってからすごく疲れていることに気付き、すでに翌日の二人と会うのが面倒になっていたが、明日が最後だから…と準備して就寝。


日曜日。土砂降り。
待合せ場所に行って千葉県民2と会う。
彼は10歳年上で、見た目は悪くないが会話を続けるのにちょっと労力が必要。
向こうもそう思って、互いに一生懸命歩み寄っている状態だ。
しかも向こうは長時間デートを望んでいたので、何とかそれを思い留まらせて4時間程度で勘弁してもらっての今日だった。
案の定、2時間超えてからの私は記憶がないくらい必死だった。
喋らない俳優が来たときのバラエティのMCみたいに話題を振って、笑顔を振りまく。

そして、3時間半で力尽きた…
雨だから早めに、と切り出して逃げるように去る。
昨日の「好かれよう」として必死なのと、とりあえず相手を楽しませようとする労力は違う。
同じ楽しませたい、でもこちらの気持ち次第で何もかもが違ってくる……


少し時間が空いたので、フラフラしながら帰りたい気持ちを押さえて千葉県民2との待合せ場所に。
土日の気力を使い果たし、もう今日でお別れしようとしている男性と、私は何しとんねん…と思いながら、適当にその場で選んだ店に入る。
そういや、昼もこんな感じで定食屋(一人千円ちょっとだった)で魚だったのに、また魚の店に来てしまった…とぼんやりメニューを見たが、こちらは結構なお値段の鰻であった。
最後なのに高いもの頼むのも悪いな…と一番安いのをチョイス。この人は絶対支払いさせないマンなのである。昼間は端数以外払いましたよ!

さて、こんな気持ちで向かい合ったわけですが、デートであることには変わりないので自動人形みたいに話し始める私。
相手も関西人なので、二人で会うときは関西弁である。
半ば適当になっていることを自覚しつつ、好かれなくて良いというプレッシャーなく会話は進む。
ひつまぶしも、う巻きも美味しかった。
そしてふと気付く。

私、全然気を使わないで喋ってる。
でも会話は楽しく続いている。
この人、たった2時間ちょっとのために、毎週2時間かけて私に会いに来てた。
しかも相談所情報だと、真剣交際したいと思ってくれているらしい。


昨日の本命の彼とより、リラックスして楽しんでる!
しかも遠慮なくものを言ってる!(今日が最後だからといつもより毒舌気味なのに)

次々私の中でパズルのピースがハマりだす。

太ってて、禿げてて、鳩のような目をしているけど!
この人と結婚したい!
私が健康にしてやる!(別に太っているが病気はない)
犬を飼って良ければ猫も飼ってやる!世話は私がする!(猫派なので飼いたいらしい)


そして帰りに次の約束を、今までのようにする私。
出逢って初めて、私のワクチン接種と彼の出張で会えない週末だと判明したが、それはそれで考える時間、冷静になる時間が出来る。
この前のように、突然恋に落ちて暴走しないで済む……


さて、そして会えない間、ワクチン接種で痛いよ〜辛いよ〜とLINEしていたら電話をくれたり、またもや相談所の人に本命のことで散々騒いでいたのに、気持ちが変わった!どうしよ!と話を聞いてもらって、段々と落ち着いて気持ちの整理がついてきた。

しかし今度は、前は私と真剣交際を考えていると聞いたが今でもそう思ってくれているか?
という、乙女のような心配が持ち上がってくる。

約2週間、悶々と過ごしつつ、相変わらずポツポツ来るお見合いの申込みを「断っても大丈夫か…?」と思いながら断る私。



そしてこの間の日曜日。
無事に真剣交際を申込まれ、今日この記事を書いている。
だが、先は長い。
これから具体的な結婚後の話を始めるのだ。
そこで互いにどうしても歩み寄れなくて、別れることになるかもしれない。

人生はいつだって不確定で先なんて読めないのだ。

それは運命ではなかった

かみんくすーん、からどうやら22日経ったようだ。

前回のタイトルにあったトラウマとは、交際断ってストーカーされたとか、付き合ってないのにストーカーされたとか、そんな昔話だ。
もう面倒だから書かないけど…髪の毛長いとストーカーされる、というジンクスがある!と私は思い、十年程前からずっとショートにしている。ストーカーや変なお誘いかなくなったので、男は基本長い髪の女が好きなんだな、と思っている。今も。


そんなことはおいておき。


出会って5分で、の続きは「恋に落ちた」である。

しかしこの22日間で全てが過去になったので、あのテンションでは書けない……
ので、今思えば的な振り返りで書いていく。

あの日、お見合いの設定時間10分前という、ルール上のお見合い待合せ時間にラウンジに到着した私。
するともう、お相手は来ていて「混んでいるようなのでもう一つの方へ」とリサーチ済で、随分スマートに私を導いてくれた。
同じことを逆の立場でしたことはあるが(その時相手は設定時間すら遅刻してきたが)、されたのは初めて!
そもそも時間の10分前に到着というルールがあっても、本当にその時間に来るのは2割強。
しかも私より早いのはその人が二人目。ちなみに一人目は店内の予約済の席で待合せだったのでカウントしない。
後はルール通りに来ているけど、私が早過ぎた(化粧直したりするから早めに行くのだ)というパターンなのでOK。

(ここで一つ書いておくが、このルール守らない人は仮交際になってからのデートで遅刻気味で来ることがほとんどであった)
(そして結局残ったのはこのルールを守って来てくれた人ばかりになった)


元々プロフィールでノックダウンされていた状態でこの出合い。
年齢もかなり近い。
家も近い。見た目も良い(太ってない禿げてない健康的)。
話も盛り上がり、お見合い終了の頃にはすっかり恋に落ちていたのだ。

帰ってから相談所に動揺の報告をし、どうしたら落とせるかを聞きまくり、しばらくポーっと毎日を過ごしていた。
この年齢で恋に落ちた。
自分でも驚いた。しかも結婚相談所で。今までの仮交際とは明らかに違うテンションと、力の入れよう。

そして2回目のデートも楽しく、終始ドキドキしながら過ごした。
もちろん、別れ際に即次の約束を取り付ける。相手もすぐに予定を教えてくれ、ただ天候によっては時間は変わるかも(天候に左右されるお仕事だった)と言いつつも、日程は確約してくれた。

相談所の人とも、これはイケるんじゃね?
となり、私は仮交際している残りの二人を次のデート終わり次第、お断りしようか…と算段していた。
一人は初期メンバーで、何となく続いていた千葉県民1。そういや千葉の果てから毎週来てくれてるな、と最近気付いたところ。
もう一人は後期メンバーで、私が諸事情で時間ギリギリになり(連絡をちゃんとして、結局は時間までに辿り着いた)、何となく申し訳なくて仮交際にした千葉県民2。こちらは東京寄りの県民でお見合い+2回目のデートだった。

そして、土曜の夜に本命の彼と、翌日曜のランチは千葉県民2、ディナーは千葉県民1とのデートという週末を迎えることになる…



かみんぐすーん!

(途中で下書き状態で時間が経ってしまい、前回から22日どころではなくなったのをお許し下さい)

昔取った杵柄とトラウマ

婚活でエブリバディかもん。にしていた結果、仕事を休むほど疲れ果てた。
ただし、ワクチン接種の後なのでただの副反応発熱だったかもしれない…
そもそもワクチン接種直前まで私はデートをしていた。馬鹿か。

そう、結婚相談所にはお互い仮交際を申し出たら、一度は必ずデートしてからではないと、仮交際終了(つまり別れる)は出来ない決まりがある。
相談所というか、相談所が加入している連盟という集まりの中の規則なのかな?
まあ、とにかくそういうことで、仮交際か決まって早くデートしななさい!と推奨されているので、素直な私は従っていた。もちろん、一日に3人とお見合いして全員に仮交際入れた時は、多少1回目のデートまでの期間にズレはあったが。

そして、最初のデートはお茶かランチで短めに!と数々の相談所ブログに書かれているし、私のところでも言われた。

私的には2時間から盛り上がって3時間だな…という計算。つまり一日に2人行ける。

この少しの時間で最大限に相手を楽しませ、好きになってもらえるよう努力する。


これ、二十代前半に少しの間、大阪北新地のクラブでNo.3を張っていた私には、正直楽勝、いや、得意分野なのである。

余談ですが、北新地とは東京の銀座。そこそこのお値段のクラブでその地位にいるのは、自慢じゃないが結構すごい。ちなみに一番二番のホステスは、オーナーの女であり、常に争ってるので、私は両人に味方になれと思われて大事にされつつ、主に企業接待を受け持ち手堅く稼いでいた。


で、その得意分野で私は全力を出していた。
私と同世代か10歳ほど年上の方で現在も独身。
私の努力(まずあなたのこと考えて選んだ風手土産、仕事のことを話しているときは熱心に聞き、どんな話にも適度な質問と感心、関心、そして笑顔。自分のプライベートの話を適度に出して心許している感も忘れず)に、大抵の、いや、仮交際に進んだ方々は私を好きになった。

LINEはとんどん重くなり、もっと会いたい、次はドライブで遠出でも、お茶だけじゃなく晩御飯も一緒にどうでしょう。
え?
お見合いとデート一回で、いくら身元も保証された人とはいえ、ホイホイ車に乗るのは怖い。
私がめちゃくちゃ労力かけて作り出した時間、悪いけど2時間が限界よ。
(相手が同じ技術を持っている場合のみ延長可)


そう、いくら昔取った杵柄でも、仕事でもなく、一緒にいたい人を探すという目的で努力して労力を使っているのだ。
無差別に休みの全てを費やして、これを続けていた私は、ついに相談所に泣きついた。


会ったばかりの人と長時間は無理です。
次のデートでまた二時間、何を話そうかと考えるとしんどいです。

相談所の人は、きっと同じ相談を何百回も受けているだろう。

無理をするな。
そんな何を話そうかと考える人と、生涯一緒になれない(要約)
と、当たり前のことを言われ、素直に交際終了をし始める。

一人、長い間一緒にいても楽しかった人がいた。
でも洗濯物の話をしたときに、この神経質な感じは適当で大雑把な私に、いつか苛立つだろうな…と思った。でも楽しかったのでしばらく付き合っていたが、ある時「この人、私が風邪引いたりしても心配してくれないな」と思うような言動があり、向こうも段々と私の本質が見えたのか、同じようなタイミングでLINEが減って次の約束がなくなって、私から交際終了。
この人とが一番会ったし喋ったし(家も近かった)、初めて具体的に結婚を意識した相手だった。

そうして残ったのは、ちょっと遠い所にお住いの私と同じ関西人と、10歳年上最近交際始めた関東人。
話が弾むので関西人の方が今のところやや有利。でも、他にも関西人いたけど無理な人は無理なので、何処出身とかは関係ないようである。


さて、そんな感じでボチボチ10人になるなあ…と言うとき、事件が起きた。

会って5分で恋に落ちる私。


かみんぐすーん。

みんな良い人(会うか会わないかはともかく)

何かもう数えてないけど十人にも会っていない。
基本的に日曜しか世間様と休みが合わないので、他の女子よりめちゃめちゃ不利な気がする。一日に最高3人でも、それに仮交際(1回目のお見合いの後で互いに良かったら進むお試し期間)に入った人とのデートもある。
そしてワクチン接種(医療従事者なので、一応)もあったりして、日曜を全て犠牲にして、かつ平日の仕事終わりにもデート入れて、私はとうとう先週倒れました……


お見合いで断ったのは二人だけで、一人は泣く泣く、もう一人はオンラインはやっぱりよーわからん!という理由。
つまり、ほとんど仮交際に進めている。
そしてもう無理、と徐々にお断りを出して3人程お別れをした。
お別れをした人も明確な理由というより、仕方なく理由をつけて別れた感じです。

つまり、逆説的に言いますと

こちらが思っていた基礎条件(年齢や収入とか提示されている項目)を満たしていて、かつ、実際に会っても嫌ではないし、それなりに楽しい。
と、いう男性だからといって、その人と結婚しよう!って選べないのである。


……贅沢な条件つけてる?


いやいや、こちとら人間の男性で会える距離に住んでいて働いて収入得ている方は、大抵お見合いをOKしております!
ただ、前述のとおり休みが少ないし体は一つなので、もちろんお断りせざるを得ないこともある。
その際の選別は、年齢(そりゃ近い方が良い)、年収(そりゃ高い方が良いが職業か投資家とかは避ける)、住んでる場所(都内優先)、メガネ。
それらを総合的に見て選びます。
でもね、結局メガネを選び勝ちなのに気付いて、え、私そんなメガネ好きやったんか…
と新しい発見をいたしましたね!
禿げてる、低身長、太っている、に関しては特に考慮しておりません。顔の良し悪しも。
最初に相談所の方に、好みのタイプありますか?と訊かれても「人間であれば」と答えるくらいこだわりは無い。


とにかく予定が合えば片っ端から会い、よほどでなければ(酒飲みと世間を見下している態度な人)、仮交際にする。

保つはずがない、体もメンタルも。

そして、私が疲れるのにはもう一つ理由があった。


次回はそれについて書きたい。
とりあえず、めちゃくちゃ嫌なオンナ、というか自信過剰というか、過去自慢というか、それ全部混じっているので、
私のことは嫌いになっても、うちの犬のことは嫌いにならないで下さい!

(このAKB48あっちゃんのネタ、もう通じないかな…)

やあやあ久しぶり

精神と時の部屋にいて、気がつけばもうすぐ夏ですね…
お久しぶりです。

タイトルを変更しました。

結局、どこまで書いたっけな…
正職員になった、彼氏が出来た、別れた…まで書いた?
何かもう、何もかもが一瞬で忘れたわ。


タイトル通り、5月くらいかね…婚活を始めたんですよ。
いや!実際は4月に申し込んで色々準備始めたので、3か月位前かのぅ…もう一年位やってる気がするけど、まだそんなもんか。


彼氏と別れた一連の出来事は秒で忘れて、もう顔も名前も覚えていない(私の長所)のですが、とりあえず不幸になればいい!と思ってはいる。
しかしデスノートに書く名前が思い出せないので、その程度の恨みである。覚えているのは初恋の先輩の名前くらいなので(当然恨んでない)、実に御目出度い脳みそだ。



そして幸せな結婚生活という、今まで考えたこともない人生を手に入れてみよう!
と、考えた私はプロに頼ることにした。
何故なら、私の人生において結婚ということを考えたことはないし、それに向かって行動したこともない。
婚活アプリは所詮、恋人欲しい!の延長だ。
それに年齢的にも結婚相手を見つけるのは、私のコネやステイタスでは不可能だ。

よし、結婚相談所に入ろう。

そう思い立った私は即、いくつか当りを着けて資料請求をし、さっさと一つに決めて入会した。
血を吐きながら入金もした。
有り得ない方向に体を捻じ曲げ、引き攣った笑顔をプロのメイクさんとカメラマンに、何とか世間に晒せるようにしてもらい、プロにプロフィールを作って貰ったのだ。
プロフィールに関しては、正直私は文章としてほぼ何もしていない。
質問形式で来たメールに答え、載せてほしいことをいくつか書いただけだ。


そうして、写真もプロフィールも、一体何処のお嬢さん…?という、素晴らしいものが出来上がっていた。


この時点で、私は全面的に相談所の言いなりになろう、と決めた。
何故なら、ここまでのものは自分では出来ないし、結婚したくなる女を画面上に爆誕させたこの腕を、血を吐いた分使い倒そうと思ったのだ。


しかし私の最大の敵は、年齢でもプロフィールでもなく、何と!職場であった……




日曜しか世間と共通の休みがない!
平日会社終わりのお見合いやデートも、半分準夜勤の私には不可能!
必然的に普通の勤め人の半分しか、婚活に割ける時間が取れない!!


次回「みんな良い人で困る」
乞うご期待!

哀しい知らせがきた

今日は休みなので、つい20分前まで眠っていた。
しかし、LINEで起きてしまい、何だかやり切らなくてこれを書いている。

とても私的な話(まあ、blogなんて全て私的だけど)なので、暇な人だけお付き合い願いたい。


私が今の家に引っ越してきた頃、祖母と小犬である先代犬と住んでいた。
そもそも小犬を先に手配され、渋々私がこの家に着たのである。

何故渋々かというと、とにかくうちの祖母は人としてヤバい人だったからだ。
この人、よく今まで刺されずに生きてきたな…と思うくらい人の傷つくことを躊躇いなく言う。
さらに、大正生まれなので仕方ないが、とにかく現代社会に逆行する思考の持ち主で、それをまた口にして人を傷つける。


例を上げると、私の父が脳内出血で倒れて半身不随になった時、上手く体が動かせない&話せないのを見て「気持ち悪い」と言ったり、妹家族が初孫を見せにわざわざ大阪から来てくれたときに「(うちが)お金けかるから来なくていいよ」とか、平気で言うのだ。

そして一緒に住んでいる私は、もう細かいことは脳内から消去してしまったが、毎日、サイコさんのように「帰ったら死んでないかな」と思いながら帰宅していました…

多分、犬がいなかったら殺人事件を起こしていた。

そんな毎日だったが、そんな二人が住む家なので誰も訪ねてこないし、私と祖母は用事ある以外喋ることもなかった。

しかしそんなに中、時々やってくる男性がいた。
仮にYさんとしよう。
彼は昔、祖父母が商売をしている頃に住み込みで働いていた人で、長い間面倒みてくれた、仲人を祖父母がしてくれたと、今でも我が家を気にかけてくれる、東京で唯一の人だ。

Yさんは年金暮らしだが、かつては長い間糖尿病の奥さんの世話をして、自分の工務店を切り盛りし、物凄い苦労人だった小柄でにこやかな人だった。
見た目はスターウォーズヨーダで、その事で祖父が死にかけている病室で私ら身内で「ヨーダに似てる!」と大爆発して看護師さんに怒られた思い出もある…
(母方の身内は皆底抜けに明るく、深刻な場面でも仕方ない!と割り切る性質なのだ。不謹慎なわけじゃないよ!)

つまり、祖父が倒れた時からずーっと世話になっていて、祖母が残されてからも気にかけてくれる唯一の存在なのだ。
そして、私に対しても気を使ってくれて、いつまでも独身なのを大変心配してくれた…

いつも家に来るときは、最寄り駅のコージーコーナーで二人しかいない家に6個くらいのケーキを買って来てくれる。
そして面倒臭そうな祖母の相手をしてくれ(もちろん私が間に入っている)、何か困ったことあれば電話してね、と言って去っていった。

祖母が施設に入ってからも、マメに来てくれて時々私と施設でばったり会うこともあった。
友達も身内もいない祖母に会いに来るのは、私とYさん、時々娘たち(私の母や叔母)だけである。

施設に通う私に、何かあったら電話してとか気を使ってくれていたが、恐らく祖母と二人での密室で、ずいぶん嫌な事も言われただろう。
それでもYさんは最期まで来てくれていた。

うちの身内では、ヨーダは来世めっちゃ幸せになってくれ…とことあるごとに願っていたが、祖母が亡くなってしばらくすると、本人が癌になった。

ここからは後で又聞きの話なので、よく解らないが、不調を家族(娘と息子がいる)に訴えることもなく、解った時には足の骨が溶けている状態だったらしい。
そして腎臓がダメになっていて、人工透析が必要になりそのまま入院した。
癌(どこが原発か解らない状態だった)と透析で、病院から出られなくなり、それでも割と元気で、娘が雑誌や食べ物を持って行くと喜んでいたようだ。

私も一度だけ、お見舞いに行ったが元気だった。
え、これで末期なの?毎日透析してるの?というくらい、普通だった。
その時も「花嫁姿見せてよ」と言われ、もう40越えてるから無理よ!と笑っていたのが、結局最後になった。

それからまもなく、コロナが流行だし面会は一切出来なくなった。
家族も2月から会えなかったようで、死に際にも間に合わなかったと聞いた。

本当に、コロナさえなければ…
私もまた会いに行けたのに。
行くつもりだったのに。
葬儀さえ行けない。


実は、最後のお見舞いに行った時に病棟で働く看護助手を見て、私はもう一回やろうかな…と思ってまずは手慣らしに介護初任研を取ったのだ。そして某大学病院で働くことになったのが去年の話だ。
それも伝えたかったことの一つだ。

最後にお見舞い行ったときに、枕元にゴルゴ13が置いてあったのや、いつもみたいにニコニコして私や私の家族の心配をしてくれて、ああ、この人、自分が大変でも人のことを気にかけることが出来る、本当に善人なのだなあ…と改めて思った。
だから、祖母の攻撃にも堪えられたのか…
祖父には世話になったかもしれないが、祖母には厭なことしか言われなかった(母もそう証言している)から、あんなに通ってくれなくても良かったのに…

と、休みだからと爆睡していた私に、Yさんが亡くなったというLINEが来て、長い思い出が頭を巡り、つい、書き留めておきたくなったということだ。


戦後の東北から一人出てきて、我が家で働き、その後も色んな苦労をしてきたのに、誰に対しても優しい一人の男性の人生を、少し離れた私が振り返って珍しく、少し泣けてくる不思議な体験。

どうか、彼の愛した全ての人が彼の望む幸せであるよう、私も願わずにはいられない。